40代の会社員、自分の仕事にかかわる業界の専門雑誌から、先端事情に関する執筆を依頼された。
せっかくの知識を生かせるし、自分なりに主張したいこともある。
だが、会社の業務で得た知見に基づく文章を書いて個人的に原稿料を受け取ることは問題ないのだろうか。
まず、社員が業務として作成した文書そのものを社外の媒体に掲載することには、相当な注意が要る。
自ら書いた資料や会社のパンフレット、ホームページ用の記述などでも、職務著作物の用件表のような条件をすべて満たす場合は著作権法が定める「職務著作物」に当たり、そもそも著作権を持つのは会社となる。
社員が勝手に外部に掲載することはできない。
一方、職務著作物には該当しないが、業務と関連する内容などを含む文書を作成した場合はどうか。
この場合、特段の取り決めがなければ著作権は社員自身にある。
職務上知りえた営業秘密を守る義務や、勤務先企業と競合する行為を差し控える競合避止義務に反しない限り、外部への寄稿は一見問題なさそうだ。
しかし、こうした関連著作でも、多くの企業が禁じたり許可制にしたりしている副業行為に該当する可能性があり、就業規則などで確認する必要がある。
「労働契約に基づく職務専念義務はへ就業時間における完全な状態での労務提供求める」と弁護士はいう。
退社後や週末の副業でも、その疲労などは業務に響く恐れがあり、「短期のアルバイトも含め、会社がすべて許可制などとするのは妥当だろう」。
実際、労働政策研究・研修機構の調査(2004年実施)では企業の約50%が副業を禁止、33%が許可・届出を課している。
職務に関連する原稿執筆でも、原稿料や継続の程度などにより副業とみなされる可能性はある。
雇用契約や就業規則の規定が、「会社の許可なく他社に雇用されたり役員になったりしてはならない」といった文言なら違反はないが、「本来の業務以外の仕事をしては
ならない」との定めなら、問題になりうる。
もっとも、副業などを禁じる就業規則違反として会社が懲戒処分できるのは、労務提供への具体的な支障や会社へ背信行為が認められる場合に限られるとみるのが一般的。
「相当性を欠くなどとして、処分を認められないことが多い」
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